☆☆セルフヘルプ・グループ「アロー」 メンバーの声2☆☆

「アロー」Allow

メンバーのためのページです
あなたの心の声を載せてみませんか?

2014/3/30


 昨年(2013年3月)自助グループと医療福祉関係者の交流会にて
 その交流会で「アロー」の代表として発表したDさんより、このようなお便りを頂きました。

昨年、交流会にて発表してみようかと思ったきっかけが、この『メンバーの声』でした。
「アロー」へ参加するようになってちょうど1年近く経ち、林さんからホームページの『メンバーの声』のことを伺い、自分のことを振り返って内容を考えてみようかな、と思っていた矢先に交流会の案内がありました。
内容を考えることは重複する部分も多い気がして、それならば思い切って発表してみようか、とかなり勇気を出してやってみることにしました。
やり始めてみると、自分を振り返り、それを文章にする作業はとてもしんどくて、思った以上になかなか進みませんでした。もともと文章を纏めることが苦手なせいもあるかと思うのですが・・・。
しかし、やると言った以上はなんとかやり遂げたいという気持ちで自分自身を支え、また林さんにも相談にのってもらったり、アダルトチルドレン等に関して改めてレクチャー頂いたりして、何とか発表するまでに至りました。自分なりの発表でいいよ、と重ねておっしゃって下さったのが、とても心強かったです。

当日は、とても緊張しました。初めての参加で状況が分からないこと、また結局、最後まで原稿が完成しなかったことなども不安でした。ただ原稿については、自分を振り返り、内容を考える作業までは出来ているし、仕事の合間を縫って徹夜することもあったりしながら精一杯取り組んだ結果であったので、それでいいと思うことにしました。
発表を終えてみると、本当にすがすがしい気持ちになれました。発表自体がうまくいったということではなく、自分なりに考えて精一杯取り組み、発表できたことをとても嬉しく感じた気がします。
そして、恐る恐るではあるけれど、今まで言葉にしなかったことをみんなの前で発表することが出来たことで、その分、心が軽くなった気がしました。

他の自助グループの方々の発表については、誠に素晴らしく、困難な自分の問題と向き合いながら、日々を一生懸命に生きている人達がいることを実感し、とても励みになりました。
また、発表を聞いて、自分自身や家族の依存について考えるきっかけとなりました。
そういったことを含め、とても感動的で有意義な会であり、心に残る夜でした。

それから、1年近く過ぎました・・・
改めて当時を振り返り、会で発表させていただいた感想等をこの『メンバーの声』に載せて頂こう!と思いました。
ずっと気に掛ってはいたものの、仕事の事で余裕がなかったこともありまして、大変遅くなってしまいました。

アダルトチルドレンからの回復については、林さんもおっしゃっていたように、私も終わりがないように感じています。また回復というのは、これまで歩いてきた道を振り返ってみて、初めて感じられることである気がします。
これまで「アロー」で回復出来たことに感謝し、これからも回復に向けての取り組みを日々継続し、努力し続けたいと思います。そして、時間が許す限り「アロー」へ参加して、仲間と共に回復の道を歩むことを大切にしたいと思います。

 以下、Dさんが当日の発表した内容(ほぼ全文)です。

 私は、AC=(アダルトチルドレン)の自助グループ、セルフヘルプグループ「アロー」に参加しておりますk−kと申します。アダルトチルドレンというのは、「アロー」の発起人である林さんの言葉をお借りいたしますと、機能不全家族=子供が子供らしく育つことが許されなかった家族で育った子供たちが、心に何らかの傷を負い、その傷が原因で大人になっても生き辛さを感じる人たちのことです。
 今日は自分の病気や辛かったこと、自助グループでの回復などについて10分程度で話してほしいとの旨でしたので、まずは自分の状況や抱えている問題についてお話したいと思います。

 私が「アロー」へ参加するきっかけとなったのは、子育てにつまずき、子どもとの関係に困難を抱え、それでも何とか子どもとやっていきたいと思ったときに、自分の問題を解決しなければどうしても先へ進めないと思われる状況に陥ったためです。その頃は、まだ自分の抱えている問題をはっきり認識出来ておらず、子どもを産み、育てる過程において初めて認識した、母親に対する凄まじいまでの怒りを感じている程度でした。
 私の育った家庭環境は、明らかに機能不全家族である、と分かる様子のものではなく、一見すると良い家庭で、母は『良い母親』と称されるような母親でした。実際に「良いお母さんね。」とよく言われたりしていましたが、私自身は不思議なほどそういった実感はありませんでした。そのような状況であったことも影響していたかと思われますが、自分の抱えている問題と自分の家族との関連等についてなかなか認識することが出来ず、よって他人に説明することも出来ない状況でした。
 しかし、「アロー」へ参加するようになり、少しずつ自分や家族について言葉にすることが出来るようになってきました。そのような中、今回の機会を得ることとなりました。お話させていただくにあたり、「アロー」への参加を発端とし、気付きはじめた自分の問題等について整理し、今後解決したい問題を明かにすることに取り組みました。一端ではありますが、少しお話したいと思います。

 まずは、私が実際に診断を受け、治療を行ったことがある精神疾患としては、双極性障害があります。躁鬱と呼ばれているものです。また、幼少期から悩まされてきたものに自家中毒と起立性調節障害があり、高校卒業時までお医者さんにお世話になっておりました。どちらの病気も小児に多くみられるもので、大人になったら治るよ、と言われてはきましたが、現在でも症状は残っており、私の不安要素の一つです。
 その他、「アロー」に参加するようになって以来、自分の問題として認識するようになったことが3つあります。それらは、そうであろうかと感じてはいたものの、今までは言葉にしてこなかったものですが、今日はここで言葉にしたいと思います。因みに、現時点では自己診断レベルのものです。
 まず、私の問題の一つにADHD=注意欠乏多動性障害があると思われます。発達障害の一種で、成人女性の場合について「片づけられない女たち」といった旨の報道がなされたことがあります。
 次に、境界性人格障害=境界例、ボーダーがあると思います。障害の範疇に含まれる程度なのかは分かりませんが、傾向はあると感じます。
 そして、三つ目として愛着障害があると思われます。

 次に、アダルトチルドレンについて少し説明させて頂き、自助グループ「アロー」での回復についてお話したいと思います。

 アダルトチルドレンとは冒頭でもご説明したとおり、機能不全家族で育ち、心に何らかの傷を負い、その傷が原因で大人になっても生き辛さを感じる人たちのことですが、「アロー」では、特に初めて参加するメンバーがいらっしゃる場合、林さん自身のイラストによる『アイスバーク=氷山のモデル』を用いて説明があります。
 アイスバークのモデルというのは、神経症等の諸症状とアダルトチルドレンの問題との関連性を示した図です。海面から上に見えている氷山の部分は、神経症・依存症・共依存・心身症等の自覚できる諸症状を表し、それらの発生原因として海面下の目に見えない大部分をアダルトチルドレンと関連付け表したモデル図です。「アロー」では、その氷山の部分ではなく目に見えない、海面下を見てゆきます。
 私も初めて参加した際に説明を受けましたし、その後も何度か伺っております。その中で多くのメンバーから質問があり、印象に残ったという感想が聞かれ、そして私自身もとても印象に残った内容として、「インナーチャイルド」と「ワンダーチャイルド」というのがあります。
 「インナーチャイルド」というのは満たされない自己=自分の中の満たされなかった子どもの部分のことであり、「ワンダーチャイルド」というのは真の自己=生まれながらに持っている本来の自己のことです。アダルトチルドレンの人は機能不全家族で育つ過程において、本来の自己を失い、代わりに「インナーチャイルド」を心の中に抱えるようになるといいます。そして、アダルトチルドレンからの回復というのは、この「ワンダーチャイルド」=本来の自己を取り戻すことである、と説明されています。
 また、林さんからのレクチャーによりますと、回復のプロセスには第1段階にアダルトチルドレンの自覚−−例えば、自分がアダルトチルドレンかもしれないと思って参加する等の自覚、第2段階が嘆きの仕事、第3段階として人との関係の再構築という3段階のプロセスがあるそうです。

 ここで、「アロー」について少しご紹介いたします。
「アロー」はカウンセラーである林さんがご自身もアダルトチルドレンであることを知り、回復を目指して発足なさった自助グループで、林さんは毎回メンバーとして、またサポーターとして参加なさっています。
 ミーティングは通常、第1・第3水曜日は昼間の時間帯、第2・第4水曜日は夜の時間帯で1時間半程度開催されます。場所は、普段はカウンセリングルームとして使用なさっている林さんのご自宅の一室で行われています。参加費用は1回1,000円で、いつもお茶とお菓子が用意されています。お部屋の冷暖房完備はもちろんのこと、アロマを焚いて下さっているので、とてもリラックスできる快適な環境です。私はいつも夜の時間帯に参加しておりますが、メンバーは多い時は4〜5人、時には林さんと2人のこともあります。
 ミーティングは、本日の冒頭で私自身も「k−kです。」と自己紹介いたしましたが、同様に各自が呼んでほしい名前を名札に書いて、その呼び名を使用します。そして、ミーティングの最初には、初参加の方がいらっしゃる場合も、同じような顔ぶれのメンバーの時も、サポーターである林さんから会の趣旨や守秘義務について、毎回同じ説明があります。その後、少人数でアットホームな雰囲気の中、話したい人が話したい内容を話し、それに対してサポーターである林さんが他のメンバーに話を広げて行く、といった形式でミーティングを行っています。そして最後に、毎回同じ言葉−−アダルトチルドレンからの回復について書かれた本の一節にあるアファメーションの言葉をみんなで唱え、本に書かれているその日の内容を林さんが朗読して下さり、会は終了となります。

 最後に、私が「アロー」へ参加するようになり、どんな変化があったかということを回復としてお話したいと思います。
 まずは、最初にお話し致しましたように、参加し始めた当初、自分の状態からアダルトチルドレンであろうと思ってはいたものの、自分が育った家族の具体的な問題については全く見えていない状況でした。よって、自分の家族のことについてほとんど話をすることがありませんでした。しかし、メンバーが自分の育った家族のことを話すのを聞いて、自分も同じような経験や同様の感情を抱いていたことを思い当たり、少しずつ話をするようになりました。そして、そのようにメンバーの話を聞き、自分も思い当たることを話してみることを積み重ねていくうちに、母親からの虐待について認識出来るようになりました。
 母親からの虐待は、身体的なものではなく、精神的虐待の範疇ではなかろうかと以前から薄々感じてはいたのですが、メンバーと話をすることで、確かに母親からの虐待があったと認識するようになりました。彼女から受けていたものは精神的支配や言葉の暴力であり、それらによって私はとても傷付いていたものの、母親からは傷付いたという感情を否定されることが常でした。そのうちにそういった感情を持つことを禁じられているように感じ、無意識のうちに感情自体を否認し、抑圧していたような気がします。
 その後も、さらに話をすることを積み重ねたり、また、過去の記憶を手掛かりとし、自分の問題を整理する過程を通して、母親の人格障害とも感じられる、不自然で不可解な言動や行動を認識するようになりました。そして、精神的虐待以外にも虐待があったのではないか、と感じるようになりました。少なくとも記憶のある時期においては、身体的虐待を思い当たりません。では、私が感じているものは何であったのか、実際に精神的虐待以外にも虐待はあったのだろうか、といった漠然とした疑念を抱くようになりました。そういった不明瞭、不明確な事柄についても「アロー」の中では感じていることをそのまま言葉にすることが出来ました。また、メンバーの色々な話を聞いて、過去の出来事の記憶が呼び起こされることもありました。
 そのような体験を積み重ね、今回ここでお話させていただくにあたり、改めて自分の問題等を整理する過程において、母親の精神的虐待以外の虐待に関する出来事について認識するようになりました。私の母親は代理ミュンヒハウゼン症候群−−子どもなどをわざと傷つけたり病気に仕立て上げたりして、献身的に介護するなど悲劇の主人公を演じ、自分に周囲の関心を引き寄せるといった症状がみられる精神疾患と思しき傾向があり、そういったタイプの虐待をする母親であったと思います。
 このようなことは、なかなか見えてきませんでした。当初は、心が重たく感じられている程度でした。「アロー」への参加を通し、次第に漠然とした息苦しさや不安が心の中に漂っていることに気付き、自分でもその息苦しさや不安の元となっているのが何の感情であるのかを探る過程を経て、少しづつ明かになってきました。またさらに、過去の出来事や感情の断片的な記憶から、探り当てた現在の感情と結び付くと思われるものを探り、組み合わせてみるといった作業を繰り返しました。そして、母親からの虐待が少しずつ姿を表し、認識されるようになってきました。それはジグソーパズルのピースを組み立てていくことに似ており、一つずつパズルのピースが繋がり、ある程度組み合わさったものを眺めてみて、その正体が明らかになっていく、といった感覚でした。
 このような一連の作業は、先にお話しいたしましたアダルトチルドレンからの回復プロセスにおける、第2段階の嘆きの仕事であった、と振り返って感じます。嘆きの仕事はこれも先程のアイスバークモデルとともに触れましたが、「インナーチャイルド(満たされなかったちっちゃな私)」の存在を感じ、その存在に語り掛け、対話をしながら過去の出来事や感情を探っていくとともに、ちっちゃなその子の気持ちを受け止め、傷付いた感情を癒す、といった「インナーチャイルド」との関わりを通して進んでいったように思います。しかし、私はその存在をなかなか感じることが出来ませんでした。
 「アロー」では、メンバーの話の中で、「インナーチャイルド」の存在が語られることもありましたし、サポーターである林さんもよく「インナーチャイルド」という言葉を用いて話していらっしゃいました。林さんご自身はその存在を自覚なさっていたそうで、私を含めメンバーの話を聞いて「今、インナーチャイルドが泣いていない?その子が悲しんでいない?」といった問い掛けをして下さることもしばしばありました。最初はそういった時に「これなのかな?今、どこにいるんだろう?」というようなことを考え、その存在に意識を向けてみるところから始めました。そして、自分の日常においても漠然とした息苦しさや不安が強く感じられるときには、同じように「インナーチャイルド」の存在を探るべく、意識を向けるようになりました。次第に「これがそうなのかな?」と感じるようになり、その存在に語り掛けてみたりしながら、少しずつ「インナーチャイルド」の存在を自覚するようになりました。自覚するようになると、「ワンダーチャイルド」の存在を肯定的、好意的に捉えられるようになりました。「いつか、ワンダーチャイルドに出会えるといいな。」といった気持ちも芽生え、希望を持って「インナーチャイルド」と関わり、嘆きの仕事に取り組めるようになりました。
 そのような経験を経て、本日ここでお話させていただくことができましたことは、振り返ってみると『回復』と呼べるのかな、と私の中では思っております。

 このように、これまで私は「アロー」へ約1年参加するとともに、今回の機会を得て、自分の問題等を改めて整理する過程を通し、今やっと問題の全体像が見えつつあると感じています。
 今後についてですが、冒頭で「アロー」へ参加するきっかけとしてお話いたしました、子どもと何とかやっていきたいという目的を果たすべく、優先順位を考えながら問題解決に取り組み、それが現実のものとなるよう努力したいと思います。

                               
2014年 3月  Dさんより 


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